瑠璃光院の見どころ|机に反射する風景と静寂に包まれた建築美

京都・八瀬の自然に囲まれた静寂の中に佇む「瑠璃光院(るりこういん)」。特に磨き上げられた書院の机に映り込む紅葉や青もみじの風景は、SNSやメディアでも度々話題になっています。この記事では、建築的な視点を交えながら、瑠璃光院の魅力を季節ごとの景観や訪問のポイントも含めてご紹介します。
Contents
瑠璃光院とは?かつては別荘として使われた静寂の空間
現在は臨済宗の寺院として知られる瑠璃光院ですが、その歴史は少しユニークです。もともとは大正時代、関西の実業家が八瀬の風光明媚な地に建てた別荘がその起源。自然の美しさを存分に取り入れた数寄屋建築が基礎となり、戦後に宗教法人として整備され、現在の瑠璃光院となりました。
「八瀬のかまぶろ」や比叡山延暦寺の門前町としての歴史を背景に持ち、静かな山間にたたずむこの空間は、まさに喧騒を離れた別世界。書院や庭園、苔の美しさを活かした構成が訪れる人を魅了します。


建築としての見どころ:映り込みを生む設計と自然との一体感
瑠璃光院の建築的魅力は、建物と自然が織りなす「反射の演出」にあります。特に有名なのが、書院二階の「机の間」。この部屋には大きな一枚板の黒漆塗りの机があり、そこに庭の青もみじや紅葉が鏡のように映り込むことで、幻想的な光景が生まれます。
この映り込みは、単なる偶然ではなく、光の取り入れ方や方角、自然との距離感を緻密に計算された配置によるもの。外とのつながりを重視し、障子やガラス戸越しに四季の変化を感じられるよう設計されています。
- 書院の机:反射するように漆塗りされ、光と緑を映す鏡面に
- 庭園の配置:建物との距離感により奥行き感と映り込みを強調
- 天井・床・開口部:すべてが水平ラインを意識した設計で、視線の抜けを演出
また、庭園と建物の高低差や樹木の配置も、訪問者が移動するたびに違う景色が現れるように考えられています。静寂の中に動きがある、そんな計算された“余白”が、建築としての大きな見どころです。

春夏秋冬、それぞれの魅力を感じる空間
瑠璃光院は春と秋に期間限定で特別公開されます(通常は非公開)。季節ごとにまったく異なる表情を見せてくれるため、リピーターも多く、毎回訪れる価値があると言われています。
- 春:新緑の青もみじが机に反射し、清々しい雰囲気に
- 夏:苔庭が潤い、木漏れ日が美しく差し込む
- 秋:燃えるような紅葉の映り込みが圧巻
- 冬:積雪時には白と黒のコントラストが静謐さを引き立てる(公開されない年もあり)
ただし、季節によって混雑状況や撮影条件も変わるため、次章で注意点を確認しておくと安心です。
訪問時の注意点とベストシーズン
瑠璃光院は通年公開されているわけではなく、春季・夏季・秋季の特別拝観期間中にしか拝観できません。また、予約制ではなく当日受付のため、特に紅葉の時期は行列ができます。
- 開門時間:10時〜17時(最終受付16時30分)
- 拝観料:2,000円(2025年現在)
- アクセス:叡山電鉄「八瀬比叡山口」駅から徒歩約5分
ベストシーズンはやはり「紅葉がピークを迎える11月中旬〜下旬」ですが、人の少ない時間帯を狙うなら、開門前に並ぶのがおすすめです。また、春の青もみじも非常に美しく、机への映り込みをゆっくり楽しみたい方には春の訪問もおすすめです。

まとめ|瑠璃光院で味わう、自然と建築が織りなす"静の体験"
京都・八瀬の自然に抱かれた「瑠璃光院」は、その歴史的背景、美しい意匠、そして建築と自然が溶け合う空間により、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。磨かれた机に反射する風景や、数寄屋建築の繊細な美しさ、時間がゆっくりと流れる静寂のなかに身を置くことの贅沢さを体感することができます。
概要:無量寿山光明寺 京都本院 瑠璃光院
住所:京都府京都市左京区上高野東山55
web:https://rurikoin.komyoji.com/