コーヒーだけじゃもったいない。建築を楽しめる隈研吾のスターバックス

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巧みなブランディングでファンを獲得し続けている国際的コーヒーチェーン店スターバックス。日本でも全国に1000店舗以上を展開する大型チェーン店でありながら土地ごとの風土に合わせたユニークなデザインのコンセプトストアを展開していることでも有名です。

単に美味しいコーヒーを提供するだけでなく、コーヒーを堪能するのにふさわしい空間づくりにも強いこだわりを持っていることが伺えます。建築物として紹介したいスターバックスのコンセプトストアは数多くありますが、今回は建築家隈研吾氏が手がけた、2011年オープンの福岡県にある「太宰府天満宮表参道店」をご紹介します。

「自然素材による伝統と現代の融合」

このコンセプトストアをデザインしたのは、子供の頃の積み木遊びを自らの建築哲学のルーツと語る隈研吾氏。隈氏は木を非常に重視する建築家であり、太宰府スターバックスも「自然素材による伝統と現代の融合」をコンセプトとしています。

このコンセプトのもとに歴史ある街で、しかも神社の参道という特殊な立地条件と融合したカフェ空間を実現させ得るためにどんなアイデアが採用されたのでしょうか?

太宰府スターバックス最大の特徴「地獄組み」

このスターバックスの最大の特徴となっているのが「地獄組み」と呼ばれる構造です。この「地獄組み」は木材を編むようにして組み上げていく組子(または木組み)と呼ばれる伝統的な手法の一つで、一度組んだら容易にバラすことができない強靭な構造を作り出す手法です。

木造建築技法の一つとして語られることもあるこの「地獄組み」ですが、本来は障子などの建具や置物に使われる技法で、これを建築技法に取り入れた建築はこのスターバックスが初であると思われます。

しかも、一般的な地獄組みはあくまで着想であり、このコンセプトストアの地獄組みには隈氏オリジナルの要素が色濃く現れています。

多くの地獄組みは井桁状に組み合わせ、接続点は二本の材木が直交する形になりますが、隈氏による地獄組みは一つの接続点に4本の材木が交わるという独特な形状です。

ちなみに隈氏はこのコンセプトストアで培ったノウハウを昇華させ、同じ「地獄組み」を内装ではなく外装として大胆に配置した台湾発のパイナップルケーキ店「サニーヒルズ南青山店」を東京に完成させています。

「隈研吾オリジナルの地獄組み」を直に見たければ、福岡よりもこちらが近いという方も多くおられるでしょう。

訪れる際の見どころは?

太さのある4本の材木を一点で交差させると出来上がる構造は分厚すぎ、少なくともおしゃれなカフェの内装としては似つかわしくありません。圧迫感のない、居心地のいいカフェ空間を作るためにそれぞれの木材がどの方向にどのような角度で交差しているか観察して見ると細部に宿る設計者のこだわりがみえてくるでしょう。

また店舗面積は165㎡程度と決して狭くはありませんが、敷地は奥に細長いやや不利な形状ゆえ、ともすれば利用者に圧迫感を感じさせかねません。しかしながら地獄組みが生み出す無数の斜線が遠近感を狂わせるためか、視覚的に狭苦しさを感じることはありません。

スターバックスが似合うおしゃれな街やモールの一角ではなく、大宰府天満宮表参道という歴史の重みの感じられる場所においてどのように周辺の景観に調和し、訪れる人々の心境に配慮されているかも観察してみましょう。

2018年冬、隈研吾氏による新たなスターバックスが登場予定

まだ詳細は明らかにされていませんが、2018年下旬ごろに、隈研吾氏デザインのスターバックスの新形態店舗「スターバックス・リザーブロースタリー中目黒」がオープン予定であることが公式にアナウンスされています。

用意されている敷地の面積は1,200㎡ほどとのことで、ロースタリー(コーヒー豆の焙煎工場)を併設した日本初の全く新しい店舗はかなり大型の施設となる模様。スターバックスのファンだけでなく、建築ファンも大いに期待したいところです。