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建築図面の種類と内容

建築図面と言った時、何を思い浮かぶでしょうか。

建築学科の授業では設計製図の課題があるので図面を描いたり、理解する授業があります。これは建築という学問において重要なことで、社会に出てからもとても約立つことが多いです。

しかし、実際設計の仕事における図面は授業で学ぶものと大きく異なります。

また建築雑誌などで見る図面は雑誌用にシンプルにしたものですので設計図面とは異なります。設計図面を載せるわけには行かない理由があるからでしょう。

そんな謎のベールに包まれた設計図面の種類と内容について疑問を解決していきます。

図面の量と枚数

まず図面にはたくさんの種類があります。また建築設計における図面はとても大量です。

規模にもよりますが小規模の住宅(2階建150㎡程度)でも最低100枚ほどは必要になります。大規模な建築の場合は1000枚を超えることもあるでしょう。

なぜそこまで図面は多いのでしょう。

複雑な要素が絡み合う建築物を図面だけで表現するので枚数が多くなります。昔は大工さんと呼ばれる職人が建築の大半を担当していました。しかし現代の建築は高度化するにつれて工事する側も細分化されています。

例えば小規模の住宅でも、基礎のコンクリート、基礎の鉄筋、骨組みを組む、外装工事、内装工事、水道工事、電気工事、空調工事、家具工事、壁紙を貼る、補修、外構工事をする人のように多くの職種の工事者がいます。それぞれの専門家全員にわかるように図面を書くため枚数も職種分多くなるのです。

図面の種類

図面は複雑に絡み合う建築を実現させるため、関係する人に伝えるツールです。つまり誰に何を伝えるかで図面の種類は変わります。

大きく分けて基本設計図と実施設計図があります。

基本設計図は提案段階の図面で、提案している計画が有意義であることをお客様に伝えるためにあります。また今後の計画がちゃんと進行していくためにも基本設計図は重要です。

実施設計図は建築を実現するため、詳細な内容を伝えるためにあります。お客様に対してはもちろんのこと、施工会社、職人の方にまで伝わるように詳細まで書き込みます。

建築基準法上の図面

建築の規模、用途によって要求される図面は大きく異なります。法律上必要な図面のうち、基本的でどの建築にも必ず要求される図面について詳しく解説します。

実施段階に進むと計画している建築が建築基準法に適合しているかどうかを行政の機関に確認してもらうようお願いします。これを確認申請と言います。

確認申請が完了していないと工事できません。

法律上必要な図面ですから図面の中でも基本的内容のことが集約されています。
今回は
① 配置図 ② 面積図 ③ 平面図 ④ 断面図 ⑤ 立面図 ⑥ 構造図 ⑦ 仕様書

について解説します。

①配置図

配置図は敷地の中に建築がどの位置にどの向きに建つかを示す図面です。図面はすべて大切ですが、この配置図は特に大切です。間違いが許されません。

これが少しでも間違ってしまった場合、やり直しがききません。建ってしまった建築を動かすことはできないからです。

②面積図

建築の面積における図面です。一般には面積を表すとき~坪、~畳と言いますが基本的に~㎡で表します。

一階床面積、二階床面積、、、それらを合計した延べ床面積。また敷地面積に対しての比率を表す建ぺい率、容積率もこれに示します。

③平面図

これは一番馴染み深い図面かと思います。

文字通り平面を表す図面で、部屋の大きさ、室の配置、建具の位置など一目でわかるものです。

一般的には間取り図なんていうこともありますが、単に間取りだけを表してるだけでもないので専門的には平面図と言います。

④断面図

建築物を鉛直方向に切断して各階の高さ関係、上下階との繋がりや階と階の間の情報における図面です。建築の居室(人が長く過ごす部屋)は天井高さ2.1mが法律で定められておりますが、このようなことも断面図で示します。

室内の高さ方向の変化に富む建築は断面図が魅力的になります。建築家の宮脇檀は高低差の操作を得意とする方で、どんなに他の図面を他人に任せても断面図だけは最後まで自分で描いたと著書にありました。

⑤立面図

建築物の高さ、外観を表現する図面です。基本的には東西南北の4方向から見たものを必要とされます。

立面図で示す法律上の制限はたくさんありますが代表的なものは高さの制限で、これに適合するかどうかは建築の大小に関わらず明示します。

また外観は建築の顔ですから、立面図の美しさは建築の美しさに直結します。

⑥構造図

建築の梁や柱といった構造体を表す図面です。

2005年に姉歯建築士による構造偽装事件がありました。また2011年の東日本大震災でも多くの家屋が被害にあったこともあり、建築の丈夫さを決める構造は誰もが関心を寄せるものです。

また建築基準法において構造の項目は大きな震災と共に改正されてきた歴史があり、その都度強化されてきました。人の命を守る為の骨組みを示す大事な図面と言えます。

⑦仕様書

これは見慣れない図面かと思います。

簡単に言うとどの各部位にどのような素材を使うかを表現する図面です。例えば、外壁はコンクリート、屋根は瓦といったことが書かれています。

外壁がコンクリートと木の板では見た目も値段も性能も大きく異なります。このように図面では示しづらい素材、材料の情報である仕様を表記します。

室内のでも同様に床の材料がフローリングかタイルかでは性能、金額、デザインが大きく異なります。フローリングだけで言っても樹種、幅、無垢材か合成材か等様々な種類があ理、それを仕様書で明示します。

まとめ

今回紹介した図面はごく基本的なものです。実際にはこれの何倍もの図面が必要になります。

建築現場ではこの図面を頼りに何人もの作業者が協力して建築を作り上げます。逆に言えば図面に一部を書き間違えると全員が同じように間違えてしまうと言うことになり、とても責任重大な仕事と言えます。