住宅設計を目指すなら見ておきたい建築物

当サイトは、アフィリエイト広告を利用しています

設計を仕事にしたいなら、たくさんの作例に触れることが大切です。実際の空間に身を置くと、スケール感や素材の質感、外部とのつながりや居心地の良さ、細部のディティールなど、図面を見ているだけでは分からない様々な情報を体験することができます。

時間の自由がきく学生時代にこうした本物の建築に触れることは、その後の設計人生においても大きな影響を与え、糧になることは間違いありません。設計対象として住宅を選びたいと思うなら、実際の住宅を見たいですよね。住宅は多くが個人の住まう空間なので、竣工後は部外者が見学することが難しいのですが、中には見学可能なものがあります。

ここでは、住宅設計を目指す建築学生におすすめの、見学可能な住まいを紹介します。

有名建築家の建てた住宅

聴竹居(きょうちくきょ)

建築家 藤井厚二により、1928年に建てられた自邸で、風や光など自然のエネルギーをうまく利用し快適な室内環境を実現するとともに、西洋的な空間の作り方を日本人の生活に合わせて提案した環境共生型住宅です。

藤井厚二は、竹中工務店で建築家として活躍し、退職後は京都帝国大学で教鞭を取り、実験住宅としての自邸を5つも建てます。聴竹居はその5つめに当たるもので、藤井建築の集大成とも言えるものです。

設備機器にあまり頼ることなく自然エネルギーをうまく取り込み、快適な室内環境をつくる設計の考え方は「パッシブデザイン」と言われ、現在では特に住宅設計では欠かせない考え方です。聴竹居に見られる様々な手法は、パッシブデザインの源流を知るためにも、重要な価値があり、機会を作って見学したい建物のひとつです。

現在は竹中工務店が管理している聴竹居は、重要文化財に指定され、完全予約制で見学することができます。
参考URL http://www.chochikukyo.com/

前川國男自邸

前川國男は、建築家ル・コルビジュエに師事し、戦前戦後の日本のモダニズムをリードした建築家として知られています。

1942年に建てられたその自邸は、外観は和風の要素が残る切妻の瓦屋根ですが、内部の空間構成や、幾何学的な格子窓が大胆なモダニズムの考え方を表しており、今見ても新鮮さを感じる空間です。

物資の乏しい戦時中に建築されたため、材料や広さは質素なものですが、大胆な吹き抜けのある主室、庭の空間を大きく取り込む開口部など、設計の工夫でとても豊かな空間が実現しています。
この自邸は、江戸東京たてもの園に移築され、一般公開されています。
参考URL http://www.tatemonoen.jp/

集合住宅の変遷を見ることができる「集合住宅歴史館」

住宅設計は、戸建だけでなくマンションやアパートなど集合住宅の設計も含んでいます。現在、住宅の間取りを表現する際に使われるnLDKという言葉は、集合住宅の設計から始まったもので、その原点ともなるのが1951年に提案された51C型と言われる公団住宅の標準設計でした。

その変遷を知ることができるのが、UR都市機構の集合住宅歴史館です。ここでは、昭和30年代の公団住宅、建築史的に価値のある同潤会アパートの住戸などを移築復元し、集合住宅の変遷をそのまま体験できる展示を行なっています。

今とは違うスケール感や、間取りの変遷、住まい方などを知っておくことは、今後の設計における大きな財産となります。完全予約制ですが、1人から無料で見学可能ですので、ぜひ行ってみましょう。
参考URL https://www.ur-net.go.jp/rd/03_open/

ハウスメーカーや住宅工務店の住宅展示場

ここまでは、歴史的に価値のある住宅を紹介してきましたが、最新の住宅にも目を向けてみましょう。

就職先に、ハウスメーカーや住宅工務店を志望している学生さんもいらっしゃると思います。実際に建てられ、販売されている住宅を見るなら、住宅展示場に足を運んでみるのが一番。

学生なのに見せてもらえるの?という疑問もあるかと思いますが、ハウスメーカーさんの就職説明会では、ぜひ見ておいてほしいといったご意見も出ています。

先方に負担をかけないために、学生で建築の勉強中であることを申し出た上で、平日の一般のお客様が少ない時間帯を選んで行ってみましょう。そこで働く方の様子を見ることで、自分の将来のワーキングスタイルをイメージすることもできるかもしれませんね。

建築設計事務所の新築住宅見学会「オープンハウス」への参加

個人の設計事務所で開催される「オープンハウス」へ参加することも、よい機会です。これは、建築設計事務所が新住宅を建てた時に、関係者や購入検討者を集めて、内覧させるイベントです。

建築設計事務所の場合は、お客様への営業目的というより、同業者への勉強会としての意味合いもあるので、学生でも参加することは可能です。

自分の地元の設計事務所や、憧れの建築設計事務所などのホームページ、SNSをチェックしておき、開催される際には、学生であることを名乗って参加してみましょう。

また、建築学会では、住宅に限らず一般には見学することが難しい様々な建築の見学会を開催しています。
こうした情報も定期的にチェックして、見学の機会を逃さないようにしたいですね。
参考URL http://www.aaj.or.jp/events/study

様々なジャンルの住宅を実際に体験しておくことが、設計の糧になる!

歴史的に価値のある住宅の多くは、図面を通して体験することができます。しかし、実際にその空間を体験できるものは限られています。

住宅を実際に見学することで、自分の好みや目指す建築のスタイルがわかってきますし、様々な建築を見ることで自分の中の設計の引き出しとも言えるものが蓄積されてきます。

時間のある学生時代に、ぜひ、多くの建築を見て回りましょう!